貴志俊彦・石橋悠人・石井香江編『情報・通信・メディアの歴史を考える』が出版されました。

《いまを知る、現代を考える 山川歴史講座》『情報・通信・メディアの歴史を考える』に、第1章「世界的な電信網の誕生と時間・空間の変容」を寄稿しました。この章では、19世紀にグローバルな電信のネットワークが形成されたことを確認したうえで、人々の時間と空間の経験を変質させていく様々な科学や技術が発展したことを論じました。

以下は、同書の解説です。
解説:情報・通信・メディアの歴史を考えることは、産業や技術の発展だけでなく、情報の役割や影響を歴史的な出来事に結びつけて解析することができる点で重要です。情報や通信技術は、社会や文化の変化を促し、歴史の転換点を生み出す要因となることがあります。たとえば、戦争や政治の決定、文化の変容、経済の発展などは、情報や通信の発展と密接に関連しています。
また、最後の座談会でも話し合われていますが、情報通信の歴史を学ぶことで、現代社会や未来の社会における情報通信の役割や可能性についても考えることができます。人工知能の発展など、情報技術の進化は急速に進んでおり、これによって今後も人間の役割や社会の変化がもたらされるでしょう。歴史的な事例をもとにして、情報技術が人間社会に与える影響を予想し、それに対する対応策を考えることができるかもしれません。ただ、今後の情報技術の発展によって、コンピュータそのものが形骸化し、時代遅れになる可能性も考えられます。
情報・通信・メディアの歴史を考えることは、歴史学の視点から現代社会や未来社会を見つめ直し、人間の役割や社会の進化を考えるうえで重要な学習の一部であるといえるのです。