日別アーカイブ: 2023年12月4日

岩波講座 世界歴史 第16巻『国民国家と帝国 19世紀』にコラムを寄稿しました。

岩波講座世界歴史 第16巻 『国民国家と帝国 19世紀』にコラム「欧米諸国における科学の制度化と発展」を寄稿しました。

世界史に関する重要な講座に寄稿する貴重な機会を与えていただきました。このコラムでは、西洋諸国における近代科学の制度化について、実験文化の拡大、科学者の専門職業化、科学技術と公共空間・インフラの変容、科学と国家・帝国との関係という視点から整理しました。

全体の目次は以下のとおりです。
展 望―Perspective
「混沌」から「傲慢」へ――「長い一九世紀」におけるヨーロッパと南北アメリカ………北村暁夫

問題群―Inquiry
ヨーロッパにおける国家体制の変容………割田聖史
ナショナリズムとジェンダー………姫岡とし子
移民の世紀………貴堂嘉之

焦 点―Focus
海域から見た一九世紀世界………金澤周作
奴隷貿易・奴隷制の廃止と「自由」………並河葉子
一八四八年革命論………中澤達哉
「イギリス」にとってのアイルランド………勝田俊輔
一九世紀前半、米国の領土拡大と大西洋革命――テキサスを中心に………二瓶マリ子
近代ヨーロッパとユダヤ人………野村真理
植民地統治と人種主義………工藤晶人
コラム―Column
  一九世紀フランス社会とメディア………小倉孝誠
  世界史のなかの「明治維新」………奈良勝司
  欧米諸国における科学の制度化と発展………石橋悠人
  政治的スカンディナヴィア主義………村井誠人
  万国博覧会とジャポニスム………寺本敬子

貴志俊彦・石橋悠人・石井香江編『情報・通信・メディアの歴史を考える』が出版されました。

《いまを知る、現代を考える 山川歴史講座》『情報・通信・メディアの歴史を考える』に、第1章「世界的な電信網の誕生と時間・空間の変容」を寄稿しました。この章では、19世紀にグローバルな電信のネットワークが形成されたことを確認したうえで、人々の時間と空間の経験を変質させていく様々な科学や技術が発展したことを論じました。

以下は、同書の解説です。
解説:情報・通信・メディアの歴史を考えることは、産業や技術の発展だけでなく、情報の役割や影響を歴史的な出来事に結びつけて解析することができる点で重要です。情報や通信技術は、社会や文化の変化を促し、歴史の転換点を生み出す要因となることがあります。たとえば、戦争や政治の決定、文化の変容、経済の発展などは、情報や通信の発展と密接に関連しています。
また、最後の座談会でも話し合われていますが、情報通信の歴史を学ぶことで、現代社会や未来の社会における情報通信の役割や可能性についても考えることができます。人工知能の発展など、情報技術の進化は急速に進んでおり、これによって今後も人間の役割や社会の変化がもたらされるでしょう。歴史的な事例をもとにして、情報技術が人間社会に与える影響を予想し、それに対する対応策を考えることができるかもしれません。ただ、今後の情報技術の発展によって、コンピュータそのものが形骸化し、時代遅れになる可能性も考えられます。
情報・通信・メディアの歴史を考えることは、歴史学の視点から現代社会や未来社会を見つめ直し、人間の役割や社会の進化を考えるうえで重要な学習の一部であるといえるのです。